http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/42466
日本のスーパーでもお目にかかる、赤、黄、緑の巨大なピーマン。原産国がオランダであることが多い。また、花屋の店先へ行けば、
オランダ産と記された球根や「アムステルダム直送」などという札がついた生花が美しくアレンジされているのを見かけることもあるだろう。
■オランダを農業輸出額世界第2位にした推進力とは
日本の九州とほぼ同じ面積しかない小国のオランダは、不毛といわれる岩塩混じりの土壌を持ち、北海からの強風が常に本土へ吹き寄せ、
曇天がほぼ1年中続くという、お世辞にも農業に適しているとは言い難い国である。
写真=北ホラント州の農地。この地から、農作物が世界へ向けて輸出される(筆者撮影、以下特記のないものは同様)
ところが、農産物の輸出額は、なんと米国に次ぐ世界第2位(約773億ドル:CBS・オランダ中央統計省2013年度調べ)なのだ。
輸出額が特に多いのは畜産製品(肉、乳製品)、トマトやピーマンなどの野菜、そして生花球根、植木などの園芸植物である。
2008年のリーマンショックの影響で生じた経済危機による不況から回復の兆しがない悲観的な状況であるにもかかわらず、農作物の輸出額
に限っては、順調に伸び続けている。
特に生花の出荷率は、昨年の同時期と比較すると、約3%も増加している(CBS・オランダ中央統計省2014年度調べ)。
農産物輸出額世界第2位の地位をこの国にもたらしたのは、「スマートアグリ」の導入によるところが大きい。農業従事者たちがコンピューター
を使い、ビニールハウス内の温度、湿度、二酸化炭素の濃度、そして地中の温度などをITによって管理する方法だ。
実はこのスマートアグリが従来の農業にとって代わることになったのには、理由がある。
1980年代終盤、スペイン、ポルトガル、ギリシアなど、南欧の気候風土を生かし大量生産された安価な農産物がオランダへ大量に輸入される
ようになり、国産物の売れ行きががた落ちしたことがあった。
従来のオーソドックスなオランダの農業法では、量産の面からして、とうてい太刀打ちできない。
そんな中、農業従事者たちがたどり着いた考えは、国産農産物を効率よく大量生産させることだった。そのためには、不毛に近い土壌、
悪天候等のマイナス要素をプラスに変えるための方法を編み出さねばならない。
写真=搾乳もコンピューター機能をフルに活用した方法を用いている。写真は、最新システムを導入した酪農家のもとで体験学習をする小学生たち
そこで農業従事者たちは協同組合を結成する。この組合で、経験を基にお互いのアイデアを交換しつつ、試行錯誤を繰り返しながら、
結果としてIT技術を用いた農作物の徹底的管理法の導入に踏み切ったのだ。
オランダのスマートアグリは、農業従事者たちがオランダ東南部・ワーヘニンゲン大学の研究者たちの助けを借りながら、自ら開発し導入した
ものである。導入に伴う資金調達も、大手金融機関からの工面によるものだ。
つまり、スマートアグリ導入は、国の提案によるものではなく、農業従事者たちの経験と研究が実を結び、実現に至ったものと言えよう。
その結果として収獲量が増大し、輸出量が世界第2位となったことが農林省に正式に認められ、昨年から農業従事者への資金支援が政府に
よって約束されることになった。
(>>2以降に続く)
■生花の生産から販売・流通までを支えるIT化
オランダといえば、チューリップを思い浮かべる方も多いだろう。国花でもあるチューリップに代表されるような、生花の輸出量を世界一の座に
押し上げたのも、やはりスマートアグリによるものだと言える。
園芸はもともとオランダの主要産業のひとつだった。
特に生花、球根、植木の輸出量は、過去10年の間に軒並み上昇傾向を辿っているが、政府はそれを見越して、園芸を専門とする農家の
協同組合に対し、援助資金調達をすでに1990年に開始していたという。
これにより、生花の生育や流通システムのIT化が一挙に進むことになったわけだ。
写真=生花店にて。花や観葉植物は、暗く長いオランダの冬の間、部屋を明るくするインテリアとして欠かせない存在でもある
写真=上空から見た花畑。オランダの短い春を色鮮やかに演出する花々
実はオランダでは1970年代に、コンピューター制御が効く温室内で、当時は珍重されたランの育成と環境管理を試験的に行なっていた。
温室内の温度を一定に保ち、栄養分を含ませた水を与え、日照時間をも管理する総合自動装置を設置したシステムが既にその頃、
開発されていたということになる。
2014年現在、オランダの生花産業に関しては、花の育成のみならず、競りや販売、流通などほぼすべてがIT化されており、遠隔競売システム
の導入で、ボタンひとつで世界中のどこからでも競りに参加できるほどまでになった。
■スマートアグリと徹底したマーケティングが国際競争力に
スマートアグリによる生産高上昇により、他国の生産物と価格競争も可能になり、輸出を増やすことで、輸入国世界第2位の地位を獲得した
オランダ。この成功は、オランダ人の商魂なくしては語れないかもしれない。
彼らは、将来の収益性をまず念頭に置くのだ。研究を重ね、成功を見据えた上で行動を起こす。加えて、生産過程でのムダを最大限省く方法
を徹底的に考え、栽培や収獲、流通にかかるコストを低く抑えるため、代替・再利用エネルギーを効果的に利用することも怠らない。
農産品は、できるだけ生産性の高い品種を選び、売れ筋や流行にも敏感だ。国内外の需要傾向を徹底的に調査して情報を得て、生産に
踏み切る。また、消費者の購入力が最大になる時期(たとえばクリスマスや正月など)を見計らい、輸出先の国の消費者にアピールするような
パッケージのデザインなど細部にまでこだわり、大量輸出する。
経験豊かな農業従事者によると、農作物を扱うビジネスで成功を収めるためには、オランダならではのコツがあるそうだ。良質の農作物を
輸出することはもちろんだが、純オランダ産であることに徹底してこだわり、それのみを全面に押し出して売り込むと成功するという。
写真=ピーマンの収獲を行なうロボットを使った実験の様子(写真提供:Enjineersonline)
オランダの、どの地方の生産物であっても構わないが、何しろ「メイド・イン・ホランド」の生産物が全ての市場を支配する、といった意気込みで
アピールし、大量に販売する姿勢をとり続けることが成功への道だという。
今、オランダの農業従事者たちが模索しているのは、種まきから収獲に至るまでの全プロセスを、コンピューター制御によるロボットに
行わせようという試みである。
未来の想像図のような話ではあるが、理想や夢を実現させることに長けてきたオランダの農業技術を以てすれば、現実化もそんなに遠くは
ない気がする。
(終わり)
いま安いのはほとんど韓国産だしな
輸入物もかなり多い。
オランダ産・韓国産、それにニュージーランド産も。
オランダもタイもどちらも日本と比べたら比較にならないほど作物の生産量自体が少ない
花は、食えないから、実質数値上では、なんにもならないね。
日本には絶対に真似出来ないな
たとえ同じ技術が手元にあっても薄給に釣られて簡単に他国でやって流出させそう
風鈴の生産量世界一位の島根県はIT革命のおかげで~ と同じくらいイミフな記事
農産物輸出額って書いてあるやん
読んでないだろ
農地ったって工場みたいな生産設備だろ
良いこと尽くめ。
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