読売新聞:2016年06月05日 12時37分
http://www.yomiuri.co.jp/national/20160605-OYT1T50030.html?from=ytop_ylist
茨城県稲敷市や龍ヶ崎市など県南部を中心に今春、水田に水を送り込む農業用水用の給水栓の蛇口(バルブ)が、相次いで盗まれた。
蛇口は金属製で転売目的の犯行とみられる。
県内の農村地域では以前から被害に遭っているが、防げないものだろうか。
◆「赤」は被害の印
田植えが終わった5月下旬、被害に遭った稲敷市の農家を訪ねた。
青々とした苗が一面に広がる水田に、目印のように赤色が交じっている。
近づくと正体は蛇口を回すプラスチック製のハンドルだった。
「赤いのは全部盗まれたところ」。
農家の女性はそう話した。
元々は銅と亜鉛でできた真ちゅう製など金属製の蛇口を使っていたが、盗まれたために急きょホームセンターで購入したという。
◆氷山の一角
県警によると、蛇口が盗まれる被害は、今年に入り5月末で稲敷市183個、美浦村32個などとなっている。
大半は農閑期や夜間に盗まれたとみられ、田植えの準備で水田に来て初めて農家が気付くケースが多い。
ただ、確認されている被害は氷山の一角にすぎない。
蛇口窃盗に対しては、被害を届け出ない農家も少なくないからだ。
利根町では土地改良区が被害を確認しているが、管轄する取手署への被害届はゼロ。
龍ヶ崎市豊田町の木村和雅区長(79)は「地区で41個が盗まれた」と話すが、竜ヶ崎署が確認しているのは24個にとどまっている。
農家の危機感が高まらない理由の一つは蛇口の手軽さからだ。
大きさによって違うものの、価格は1個2000円~3万円程度。
防犯カメラを設置したり、農閑期に給水栓から取り外して保管したりするほどの物ではないという認識だ。
今年3月までに30個の蛇口を盗まれた龍ヶ崎市の男性(74)は「数年前も同じ被害に遭ったが、面倒くさい」と被害届も出さなかった。
◆工具不要で盗みやすい
一方、犯人にとっては、むき出しの管にはめ込まれているだけの蛇口は、大がかりな工具を使うことなく盗むことができる。
重さも1個約200グラム程度、銅線のようにかさばることもない。
こうした中、警察や地元では、農家に向けて回覧板や町内放送などで注意を呼びかけている。
しかし、危害を加えられるなど直接的な痛みを伴わないだけに、意識改革を促すのは簡単ではない。
犯罪被害者の心理に詳しい諸沢英道・元常磐大教授(被害者学)は
「窃盗の犯人は常習性が非常に強い。被害者側にも、一度被害に遭うと『次は大丈夫だろう』と楽観的にとらえる心理がはたらき、対策をとれば防げるはずの犯罪被害に再び遭ってしまう。この発想は危険。『一度遭ったらまた遭いますよ』と意識を変え、対策をとることが大事」と指摘する。
陽にあたって劣化する
ガソリン代になるのかね
そんな金目の物じゃないだろ
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